この記事では、インボイスの登録をすべきか悩んでいるフリーランス薬剤師と調剤薬局に向けて、インボイス制度のわかりにくい点をイラストと簡単な文書で紹介します!
「インボイスはとりあえず登録しておいた方がいいの?」
「なんとなくはわかるけど、インボイス制度を薬局とフリーランス薬剤師に当てはめるとどうなるの?」
この記事では、このような感覚の方の疑問を解消していきたいと思います!
【①消費税の納税の流れ】
【②課税事業者と免税事業者(非課税事業者)】
①②をイメージできるようになることが目標です!
ちなみに私は、現時点ではインボイスの登録はせずに様子見をしている状況です!
取引先との問題が発生しない限りはインボイス登録の予定はなく、少なくとも個人でやっている調剤薬局ではインボイスの影響はほとんどないと考えているためです!
個人薬局がインボイスの影響をほとんど受けないと考える理由については後で紹介をしますので、ぜひ最後まで見てみてください!
この記事はくくたる@薬剤師(Twitter)が作成しています。
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税金などの国の制度に関係する記事は下記でもまとめていますので、興味を持っていただけたらぜひ見てみてください!
>>フリーランス薬剤師に関する税金4種!節税・納付方法を解説【個人事業主】
>>個人事業主の開業で再就職手当が貰えた話とQ&Aまとめ【フリーランス薬剤師】
インボイス制度はフリーランス(個人事業主)にどう関係する?
インボイス制度がわかりにくいのは、日常生活で聞かない単語や考え方が多いからだと私は思っています!
フリーランス薬剤師(個人事業主)の立場から考える場合は【取引先の薬局の消費税の流れ】を知ることが大切です!
調剤薬局の立場から考える場合は【薬局が課税事業者と免税事業者(非課税事業者)どちらに当てはまるか】を知ることが大切です!
イメージしやすくするために、消費税の納税の流れをイラストで紹介したいと思います!
ちなみにこれから紹介するイラストでは、販売店舗は【課税事業者】となっております!
※免税事業者(非課税事業者)は別のイラストでまとめています!
仕入会社がインボイス登録をしていた場合の販売店舗の消費税
①販売店舗が仕入会社から1100円で商品を仕入れる(消費税100円を払っている)
②販売店舗がお客さんに2200円で商品を販売する(消費税200円を受け取っている)
販売店舗の消費税の納税額は、お客さんから受け取った消費税200円から仕入会社に支払った消費税100円を差し引いた、差額の100円を納税します!
仕入で支払った分の消費税を【仕入税額】と言い、仕入れ税額分を差し引けることを【仕入税額控除】と言います!
仕入会社がインボイス登録をしていない場合の販売店舗の消費税
①販売店舗が仕入会社から1100円で商品を仕入れる(消費税100円を払っている)
②販売店舗がお客さんに2200円で商品を販売する(消費税200円を受け取っている)
①②の消費税の流れは同じです!
しかし、仕入会社がインボイス登録をしていない場合は、仕入で支払った分の消費税(仕入税額)が認められないため、販売店舗が納税する消費税は200円となってしまいます…!
100円、200円で考えるとたいしたことないように思えますが、例えば50万円の報酬にかかる消費税は5万円です!
5万円が仕入税額として認められるかどうかはかなり大きな問題になりますよね!
フリーランス薬剤師と調剤薬局のインボイス制度の関係
ここからは、フリーランス薬剤師と調剤薬局(課税事業者)での消費税の流れがどうなるのかについて紹介します!
ポイントは【①フリーランス薬剤師のインボイス登録の有無】と【②調剤薬局が課税事業者と免税事業者どちらになるか】です!
ちなみにこれから紹介するイラストの調剤薬局は【課税事業者】となっております!
※免税事業者(非課税事業者)は別のイラストでまとめています!
フリーランス薬剤師がインボイス登録をしている場合
①フリーランス薬剤師がインボイス登録事業者の場合は、調剤薬局がフリーランス薬剤師に支払う金額は消費税(仕入税額)として認められる!
②仕入税額として認められるため仕入税額控除が適用され、調剤薬局の消費税の納税は差し引きした100円の支払いを行う!
※調剤薬局が課税事業者の場合
フリーランス薬剤師がインボイス登録をしていない場合
①フリーランス薬剤師がインボイスに登録をしていない場合は、調剤薬局がフリーランス薬剤師に支払う金額は消費税(仕入税額)として認められない!
②仕入税額として認められないため仕入税額控除が適用されず、調剤薬局の消費税の納税は200円の支払いを行う!
※調剤薬局が課税事業者の場合
フリーランス薬剤師に支払う金額(外注費)は仕入税額控除の対象です
調剤薬局がフリーランス薬剤師に支払う金額は【外注費】として精算されることが多いと思います!
外注費は仕入税額控除の対象となるため、フリーランス薬剤師がインボイス登録をしていないと消費税の納税額の差し引きができず、調剤薬局が納税する金額が高くなってしまいます!
※調剤薬局が課税事業者の場合
仕入税額控除の対象は「仕入」だけではありません。以下のものも対象になりますので注意しましょう。
弥生であんしん!インボイス制度対策|インボイス制度のかんたん説明&準備のまとめ|弥生株式会社【公式】
1.商品などの棚卸資産の購入
2.原材料等の購入
3.機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入または賃借
4.広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払い
5.事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
6.修繕費
7.外注費
フリーランス薬剤師は外注費で精算されるため、課税事業者の調剤薬局側としては仕入税額控除を利用したいと考えますよね!
ここまで紹介した調剤薬局は、消費税を納税する必要のある【課税事業者】である場合の話でした!
ここからは、調剤薬局が【免税事業者(非課税事業者)】である場合について紹介します!
消費税を納税しなくていい?免税事業者(非課税事業者)とは?
実は個人で営業されている調剤薬局の場合は、消費税の納税をする必要がない【免税事業者(非課税事業者)】である可能性が高いです!
免税事業者である可能性が高い理由については後ほど紹介しますので、まずはイラストで消費税の流れを紹介します!
調剤薬局が免税事業者(非課税事業者)の場合
調剤薬局が免税事業者(非課税事業者)であれば消費税の納税が免除されているため、フリーランス薬剤師のインボイス登録の有無の影響は受けません!
消費税の納税が必要ないため、患者さんから受け取った2200円はすべて調剤薬局の売上となります!
消費税納税分も売上にできるため、免税事業者の方がお得という考え方ができます!
また、フリーランス薬剤師も免税事業者であればもちろん消費税の納税はせずに済むため、調剤薬局とフリーランス薬剤師がどちらも免税事業者の場合は、お互いにインボイス制度の影響は受けずにWinWinの関係が保てます!
免税事業者の要件については、下記の記事の【消費税を払わなくていい? 免税事業者とは?】の項目にまとめています!
>>フリーランス薬剤師に関する税金4種!節税・納付方法を解説【個人事業主】
処方せん売上などの調剤報酬は【非課税売上】で計上される
ここまで紹介したイラストでは、患者さんから調剤薬局の流れで商品購入2200円(消費税200円)と記載しておりますが、実は処方せんに基づいた調剤報酬は【非課税売上(消費税がかからない売上)】として処理されます!
そのため、調剤薬局の運営会社が【①OTC販売などの物販を積極的に行っている場合】や【別の事業を併せて行っている場合】などで課税事業者となっていない限りは、免税事業者である可能性が高いと私は考えています!
>>薬局と医薬品仕入の消費税区分|コラム|フェイス税理士事務所│大阪市北区│南森町
私が「個人の調剤薬局が免税事業者の可能性が高い」と考える理由は、処方せん売上は非課税売上となるためです!
フリーランス薬剤師の私はインボイスの登録はせずに様子見をします
私が業務委託契約を結んでいる調剤薬局は2023.08時点で5ヵ所ですが、どちらの薬局も1~数店舗を経営されている個人薬局です!
取引先に確認を行う必要はありますが、免税事業者である可能性が高いため現状はインボイスの登録はせずに様子見をしている状況です!
免税事業者である方が消費税の納税の手間がかからないため、インボイスの登録をしないと契約継続ができないなどの状況にならない限りは、取引先が負担する消費税分の報酬の減額させていただくなどで対応できればと私は考えております!
最後に
というわけで今回は、フリーランス薬剤師と調剤薬局はインボイスに登録すべきなのかについて紹介をしました!
薬剤師として働いていると、税金の話は難しく感じますよね…!
今回の記事が苦手意識のある方の参考になっていれば幸いです!