この記事では、フリーランスの節税対策として青色事業専従者給与を支払うかどうか迷われている方に向けた内容です!
税務署への手続きや書類作成方法、配偶者控除との損得・確定申告と源泉徴収が必要かなどについて紹介します!
私は2023年1月からフリーランス薬剤師の開業をして1年間過ごせましたので、2年目からはステップアップとして、妻に青色事業専従者給与を支払うことで節税対策にも力を入れていこうと考えるようになりました!
※この記事では、夫(私)が世帯主で妻と息子が扶養者です。
青色事業専従者給与を活用するにあたり、私が疑問に思ったことは下記の4点です!
①青色事業専従者給与を支払うために必要な書類と登録は?
②給与をいくら支払えば節税対策になるのか?
③配偶者控除・扶養控除と青色事業専従者給与の優先方法は?
④給与支払いの源泉徴収の必要性や妻の確定申告・所得税などの影響は?
①~④は私がリアルタイムで悩み、調べた内容ですので、同じようなお悩みの方の解決のお手伝いができれば幸いです!
ちなみに開業届や青色申告承認申請書の作成に関しては下記の記事にまとめていますので、興味を持っていただけたらぜひ見てみてください!
>>フリーランス薬剤師の開業届は無料のfreee開業で業務効率化
この記事はくくたる@薬剤師(Twitter)が作成しています。
2023年9月にフリーランス薬剤師の書籍を出版しました!
ありがたいことにベストセラーを獲得できましたので、興味を持っていただけたらぜひ購入も検討してみてください!
ちなみにKindle Unlimitedに加入されている方は【無料】でお読みいただけます!
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なぜ青色事業専従者給与が節税対策になるの?
フリーランスが青色事業専従者(妻や子ども)に支払う給与は、経費として支払えます!
給与分を所得金額からマイナスできるため、青色事業専従者給与は節税に役立ちます!
極端な話ですが、給与として支払う場合とそうでない場合のお金の流れを下記で紹介します!
【月の収入が50万円ある場合(給与以外の経費はなし)】
①妻に仕事を無料で手伝ってもらった場合
→月の所得金額は50万円です!
②妻に10万円の給与を支払った場合
→収入50万円-給与10万円(経費)=40万円
→月の所得金額は40万円です!
このように妻に給与としてお金を支払うことで所得金額を減らすことができ、税金は所得金額に対して発生するため、所得金額を減らすことは節税に役立ちます!
家族でお小遣い制度を導入している場合などは、妻にも仕事の一部を手伝ってもらって給与とすることで節税となり、結果的に家族で使えるお金が増えるという仕組みです!
青色事業専従者給与を活用する上で私が疑問に思ったことは、妻に給与を支払うことで「妻の確定申告が必要になるか?」です!
結論は下記の2点(+住民税の有無)ですが、詳細は後半で紹介します!
①所得税がかからない金額の範囲で給与を支払う場合
→所得税がかからないので確定申告は必要なし!
②所得税がかかる金額で給与を支払う場合
→個人事業主が源泉徴収(年末調整)を行うので確定申告は必要なし!
どちらにしても妻の確定申告はしなくて済みそうですが、源泉徴収は地味に手間になる作業だと私は考えております…!
自分が辛くない範囲で節税対策をすることで、会社員時代よりも豊かに過ごすことができれば幸せですよね!
青色事業専従者給与に必要な書類と登録方法は?
必須の書類は①青色事業専従者給与に関する届出書と②給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書です!
また、念のため一緒に出しておいたほうがいい書類は③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(源泉徴収の納期負担を軽減する書類)だと考えられます!
これらの書類を準備して、e-Taxでオンライン申請をしたり税務署に持っていくことで青色事業専従者給与の登録ができます!
私は万が一不備があった場合にその場で指摘してもらえる+受領印欲しさに税務署に持っていきました!
実際に提出した書類①:青色事業専従者給与に関する届出書
【画像は後日アップロード予定です…!】
ちなみにこちらの届出に記載する給与は、実際に支払う給与の上限の金額です!
例えば10万円と記載して、実際には8万円を支払うことが可能です!
逆に、記載した金額以上の給与を支払う場合は、再度「理由をつけて届出を提出」する必要がありますので、支払ってもいいと思う給与の上限の金額を記載しておくことをおすすめします!
実際に提出した書類②:給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
【画像は後日アップロード予定です…!】
実際に提出した書類③:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
【画像は後日アップロード予定です…!】
実は源泉徴収した税金は、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません…!
しかし、こちらの届出を提出しておけば年2回にまとめて支払いが済むようになるため、万が一源泉徴収が発生する給与額に達した場合の手間を減らすことができます!
【年2回の提出期日】
①1月から6月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税:7月10日
②7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税:翌年1月20日
ちなみに今回紹介した書類は、すべて無料で利用できるfreee開業で作成しました!
作成した書類は特に不備もなく税務署で受理してもらえました!
青色事業専従者給与に必要な書類はfreee開業で簡単・確実に作成しよう!
私は2023年の開業時にfreee開業を利用していたので、ログインをしてその時の設定項目の一部を変えるだけで簡単に※①~③の書類を用意することができました!
※①青色事業専従者給与に関する届出書
※②給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
※③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
freee開業の使用感などは下記の記事紹介をしていますので、ぜひ参考にしてみてください!
>>フリーランス薬剤師の開業届は無料のfreee開業で業務効率化
freee開業で開業届を出していた場合の追加入力項目
今回新規で入力をした項目は、妻に関する情報と支払う給与の金額のみです!
開業時の設定の一部の変更については、開業日を今回提出する書類の届出の日付に合わせることです!
これを忘れてしまうと、開業日(私の場合は1年前)にさかのぼって申請をしようとしていることになるため注意が必要です!
もしfreee開業に興味を持った場合は、下記の公式ページを見てみてください!
青色事業専従者給与の金額はいくらに設定する?
青色事業専従者給与の届出自体は簡単にできるのですが、給与をいくらに設定するかはすごく悩ましいところです…!
ちなみに青色事業専業者給与の金額に上限・下限はありません!
しかし、仕事の実態に見合う給与でないと税金対策と疑われてしまい、全額は経費として落とせなくなる可能性があるため、実際には高すぎず低すぎずという現実的な金額を設定する必要があります!
扶養の範囲内や所得税(源泉徴収)・住民税の手間から給与の金額を考える!
青色事業専業者給与は金額の上限はありませんが、いわゆる扶養の範囲内で金額を抑えたり、妻の給与に対する源泉徴収、妻の住民税の支払いなどの手間を考慮して、自身や家族の負担が少なく済むよう給与を設定することを私はおすすめします!
私のように簿記の知識ゼロで開業をする方は、特に手間を減らして少しずつ業務に慣れていく方法がおすすめです!
【扶養の範囲内の給与設定は?】
扶養の範囲内に給与設定をすると、夫の社会保険の扶養に入ったまま妻が働けるため、妻の社会保険料(健康保険料)がかからないというメリットがあります!
扶養の範囲内は、以前は年収106万円以下(月収約88,000円以内)だったのですが、2024年2月現在では従業員の数によっては年収130万円以下(月収約10万8000円以内)でも社会保険の加入せずに済むそうです!
>>「年収の壁」とは?種類や扶養範囲内での働き方、超えた場合の変化をわかりやすく解説|iyomemo(いよめも)
ちなみに年収130万円前後での社会保険料は18~20万円前後と考えられています!
個人でフリーランス薬剤師をする場合は従業員が多くなる状況は考えにくいので、任意継続などで扶養の範囲内のみを狙う場合は、年収130万円以下(月収約10万8000円以内)で給与を考えることをおすすめします!
任意継続については下記の記事を参考にしてみてください!
>>退職後の生活費(健康保険・住民税・年金など)がいくらか計算
【所得税(源泉徴収)がかからない給与設定は?】
給与が年収103万円以上(月収約85,000円以上)になると妻にも所得税が発生しますので、それ以内に給与を抑えれば所得税は発生しないことになります!
所得税が発生した場合は給与で源泉徴収をするため、妻が確定申告をする必要はありません!
源泉徴収は年2回(届出をしていれば)ですが、それでも会計ソフトの手間になることは間違いありません…!
ちなみに社会保険の扶養の範囲内の上限である年収130万円付近に給与を設定した場合は、妻の所得税は約15,000円です!
そのため103万円以内に抑えて会計ソフトの手間を減らすか、130万円以内にして節税効果を高めるかは好みが分かれると思います!
できるだけ会計ソフトの手間を減らしたい私は、妻への給与は年収103万円以内(月収約85000円以内)で給与設定を考えました!
【住民税がかからない給与設定は?】
ここまでくると「住民税も抑えて手間を減らした方がいいのでは?」と考えたくなるのですが、実は住民税は自治体によって微妙に異なり、年収93万~100万円で発生します!
今度は逆に「年収をいくらに設定すれば住民税がかからないか」を調べることに手間がかかると私は考えました…!
市役所に電話をすれば済む話ではあるのですが、引っ越しなども考えると調べなおすのがめんどくさいですね…。
ちなみに住民税は、所得税がかからない年収103万円付近では5000円前後で済むはずです!
また、住民税は会計ソフト上の手間はかからず、送られてきた支払用紙を楽天ペイなどで支払えば家で完結できますし、若干ですがポイントにもなるので考え方によってはお得です!
青色事業専従者給与は配偶者控除や扶養控除と併用できません!
ここまでは給与を減らすことばかり書きましたが、減らしすぎた場合は給与を支払わない方が節税効果が高くなってしまう可能性があります…!
その理由は、青色事業専従者給与を利用した場合は、配偶者控除や扶養控除が利用できないためです!
ややこしいので先に捕捉しますが、配偶者控除や扶養控除は個人事業主である私が確定申告の際に利用できる控除です!
妻や子どもが社会保険の扶養に入れる・入れない話とは違いますので、混乱しないように注意です!
青色事業専業者給与では控除の併用ができないためしっかりとは調べられていないのですが、配偶者控除は38万円 or 48万円、扶養控除は16歳以上の配偶者以外の扶養者に対して38万円~63万円控除されます!
私の場合は妻と2歳の子どもの3人家族のため、青色事業専従者給与を利用しない場合は配偶者控除である38万円が控除できます!
そのため、少なくとも青色事業専従者給与を年収38万円以上にしないと、給与を支払うよりも配偶者控除を利用した方が節税面でお得だったという状況が発生してしまいます!
青色事業専従者給与を103万円に設定した場合は、配偶者控除を利用するよりも65万円多く節税効果が期待できます!
※計算式は103万円-38万円=65万円
最後に
というわけで、今回は青色事業専従者給与を利用するかどうか、私が疑問に思って調べた内容を紹介しました!
おそらく同じような疑問・悩みを持つ方が多いと思いますので、この記事が少しでも役立てていれば幸いです!
勉強になったと思っていただけたら、X(旧Twitter)などで拡散していただけたら嬉しいです!