約10種類の薬歴を使ってきた私が「Musubi」のAI機能を使ってみた感想【2026年9月追記】

フリーランス薬剤師

※本文は2026年6月に書いたものです。
その後、2026年9月時点で使用感が変わったため、当時の記述はそのまま残したうえで、各項目に【2026年9月 追記】として現在の状況を足しています。
「以前はこうだったが、今はこう感じている」という形で読んでいただけると分かりやすいと思います。


こんにちは、くくたるです。
私は2013年から薬剤師としてドラッグストアに勤務し、2023年1月にフリーランス薬剤師として開業、2025年1月に合同会社フリラ・プラスを設立して、現在はフリーランス薬剤師×法人運営で生活をしています。

フリーランスとして複数の薬局様で働くなかで、これまで本当にいろいろな薬歴システムに触れる機会がありました。

これまで私が使ったことのある薬歴システムは、こんな感じです。

・PharnesX(メディコム)
・DrugstarPrime(ドラッグスタープライム)、
・MEDIXS(メディクス)
・NO@H FOR THE PHARMACY(通称ノア)
・Di Notes II
・Recepty NEXT(EMシステムズ)
・Musubi(ムスビ)
・Pharma-SEED EX(ファーマシード)
・楽歴
・CARADA 電子薬歴 Solamichi
など、他にもいくつか使ってきました。

今回は、そのなかでも気になっていた「Musubi(ムスビ)」のAI薬歴機能を実際に使ってみることができたので、使用感を率直にまとめます。

※Solamichi(ソラミチ)のAI薬歴を使ってみた感想はこちらです。比較しながら読んでいただけると分かりやすいかもしれません。

 

この記事のポイント(先にまとめ)
✅ マイクはsurfaceの備え付けで十分。投薬台への端末設置も不要だった
✅ 話者分離機能があり、会話に他の人の声が混ざっても比較的問題なかった
✅ SOAP生成中も他の患者様対応ができ、待ち時間のストレスは少ない
✅ 精度はそこそこ高いが、数値の確認と改行・主語の修正は必要

【2026年9月 追記】現在のポイント
⚠ 話者の取り違えが頻発している
⚠ 日本語として意味の通らない要約が出ることがある
⚠ 「修正すれば使える」から「一から読み直す必要がある」に近い感覚になった


surfaceのマイク性能について

まず気になっていたのが、マイクの性能です。

surface端末(タブレット)を投薬台に置く、または別途Bluetoothマイクを投薬台に設置する必要があるのかと思っていましたが、実際には投薬台付近にsurfaceがあれば、surface内のマイクで十分に音声が拾えました。

surfaceを患者様の見える範囲に置かなくても、少し離れているくらいでも平気だったのは良かった点です。

わざわざ投薬台に端末・別途マイクを用意しなくても、十分に活用できました。

 

【2026年9月 追記】聞き取りの精度が…?

2026年9月時点では、このあとの項目で書くとおり、出てくる要約の中身に気になる点が増えてきました。
私の感覚としては、聞き取りの精度が落ちてきたように感じる場面が増えています。

ちなみに現在、私がお世話になっている薬局では、音声を拾いやすくするために卓上の平たいマイクが設置されています。
設置位置としては投薬台のちょうど良い場所で、申し分ありません。

ただ、正直なところ、これで良くなったという実感はありません。

そもそも私の感覚では、卓上マイクが入る前から、日に日にAIの聞き取りの精度が落ちてきているように感じていました。

実際にどんな要約が出てきたのかは、このあとの項目で紹介します。


会話の取り方について

続いては、会話の内容の取捨選択についてです。

AI薬歴のモードについて

ムスビには、患者様との会話から薬歴にする「対話モード」と、薬剤師がひとりで話す内容から薬歴にする「ひとり語りモード」があるようです。

今回私が試したのは「対話モード」のみです。

「話者分離」機能がある

私と患者様の会話中に、別の方の会話の声もマイクには入ってしまうことがあります。
※隣の投薬台で会話が始まる、受付の会話など。

ただ、AIの要約では、そういった余分な会話は除外されており、私と患者様の会話のみを抽出してまとめてくれていました。
※録音の文字おこし自体には他の方の会話も含まれており、必要部分のみ薬歴用に要約されます。

ただ、これはもしかしたら、他の会話が紛れることもあるかもしれません。
少なくとも、今回私が使った感じでは特に気になりませんでした。

途中で別の方の投薬が入った場合も録音はされますが、話者分離によってきちんと分けられていますので、わりとストレスフリーです。

 

【2026年9月 追記】ここが、いま一番つらい部分です

上に書いた「話者分離によってきちんと分けられている」という感想は、2026年6月時点のものです。

2026年9月時点では、私(薬剤師)が話した内容が、患者様の発言としてSに入ることが頻繁に起きています。

実際に出てきた例を1つ挙げます。

出てきた要約
S:脱水症や熱中症の症状(頭痛、吐き気、めまい)はあった。

実際の会話
私から「夏場は頭痛や吐き気、筋肉痛など、脱水症状や熱中症が疑われる状況はありませんでしたか?」と確認した場面です。

何が問題か
患者様は「あった」とは言っていません。
私が例として挙げた症状が、そのまま患者様の訴えとしてSに入りました。

これがそのまま薬歴として残ると、なかった症状が、あったことになります。
修正すれば済む話ではありますが、見落とせば記録として残ってしまう種類の間違いです。

他の事例もあるのですが、長くなるので記事の下部にまとめております。


SOAPの反映スピードと、待ち時間中の動き

SOAPがすぐ反映されるかどうかも、気になるポイントだと思います。

実際には少し待ち時間がありますが、気にならない程度でした。
※体感数十秒~1分程度。

さらに、SOAPの要約を生成している間も、別の患者様の薬歴を開けます。

つまり、裏で薬歴を作成してもらいながら、別の患者様の服薬指導ができるということです。

あとから先ほどの患者様の要約を、薬歴に反映させられるのは、非常に便利だと感じました。

 

【2026年9月 追記】ここは今も変わっておらず便利です

生成中に別の患者様の対応ができる点、待ち時間の短さについては、2026年9月時点でも不満はありません。
仕組みとしての使い勝手は、今も良いと思っています。

変わったと感じているのは、あくまで出てくるAI文章の要約の精度です。


実際に出力された文章

実際にどんな文章が出てくるのか、抜粋を紹介します。

「脱水による副作用リスクについて説明し、脱水対策を行うよう指導した。」

これが、一発でこのまま出力されました。

完璧なSOAPを毎回作ることは難しいですが、そこそこいい精度で反映されると感じています。

 

【2026年9月 追記】日本語として成立していない要約が出る頻度が…

上の文章のように、2026年6月時点では、そのまま使える要約が出てくることもあり、非常に便利でした。
特に「〇〇と指導」という終わり方は、個別指導を意識した薬歴でも非常にありがたい出力でした。

ただ…、2026年9月時点では、読んでも意味が取れない文章が多々混ざるようになりました。

最近の出てきた要約
A:経過観察と判断される可能性がある

何が問題か
Aは、薬剤師の判断や考えを書く場所です。
「経過観察と判断した」「経過観察の可能性があると判断した」であれば分かります。

しかし「経過観察と判断される可能性がある」だと、誰に判断されるのかが分かりません。
薬剤師が書くべき場所に、主語の分からない文章が入ってきます。

文章として整っているように見えるぶん、流し読みすると気づきにくいのが厄介なところです。


個人的なおすすめの使い方とAI薬歴の懸念点

私がおすすめしたい使い方は「話した内容が、ある程度まとまったメモとしてSOAPに自動分類される感覚」で使うことです。

「1発で完成形の文章はできない」という状況を受け入れた方がいいなという感覚です。
というのも、少なくともどの薬について、どの指導をしたかを100%一致させることが難しいからです。
※それを考慮しても、AI薬歴利用した方が時短になりました。

例えば「今回もアムロジピンが出ていますが、ふらついたりしませんか?」という聞き方であれば、AIがアムロジピンに対して言っていると伝わります。
しかし、実際にはすべての薬剤名を言いながら話すことはなかなかないので、どの薬でどの指導をしたかについては、多少の加工が必要なためです。

そのため、話した内容から「すでに良いように振り分けられているメモ」から、一部直したい部分を修正していくスタイルが、個人的には便利でした。

AI薬歴の懸念点

ただし、注意したい点もあります。

毎回ではないのですが、例えば血圧を120/70と聞いていたのに、130/70のように記録されることがありました。
なので、具体的な数値は、処方せんなどに軽くメモしておくことが必須だと感じています。

また、生成された文章は改行がされておらず、主語が足りない場合がありました。

例えば、こんな文章です。

「〇〇(薬剤)についての脱水時のリスクを指導した。飲み忘れについても指導した。」

これに対し、実際に書きたかった文章は下記の通りです。

「〇〇(薬剤)についての脱水時のリスクを指導した。」
「✕✕(薬剤)の飲み忘れについても指導した。」

このように、改行と主語(主に薬剤名)の見直しは、まだまだ手作業が必要だと感じました。

 

【2026年9月 追記】「どの薬か分からない」から「別の薬に化ける」へ

上に書いた「どの薬について話したかを一致させるのは難しい」という話は、今も同じです。
ただ2026年9月時点では、別の薬剤に置き換わっていることがあります。

出てきた要約
S:塗り薬を以前使っていたが思い出せない。

実際の会話
胃薬についての会話です。塗り薬の話は出ていません。

何が問題か
「どの薬の指導か曖昧」であれば、こちらで補って直せます。
しかし存在しない剤形が出てくると、読み返したときに何の話だったのか分からなくなります。

おそらく、胃薬(いぐすり)→塗り薬(ぬりいぐすり)に誤変換されたのだと思います…。
ぬりぐすりと言っていたつもりが、ぬりが聞き取れておらず「いぐすり」になるケースもあるかもしれません。


【2026年9月 追記】実際に出てきた要約の具体例まとめ

本文で挙げた3例のほかにも、気になった要約が多々ありましたので、2026年9月時点で、私が実際に目にしたものをまとめます。

「こういう間違い方をすることがある」という参考情報として、話し方などの利用方法に活かしていただけたらと思います。
どこを重点的に気をつければよいかの目安になるはずです。

 

① 話者の取り違え(私の発言が、患者様の発言になる)

いちばん多かったパターンです。

S:眠気が出ることがある。
私が副作用として指導した内容です。Pに入るなら妥当ですが、患者様が訴えたことになっていました。

S:お腹が緩くなることがある。
こちらも同じです。私が説明した内容が、患者様の訴えになっていました。

S:飲むと痛みが出るか心配している。
私がロキソプロフェンで胃が痛くなる可能性を説明した場面です。
それが「患者様が心配している」という形に変わっていました。

S:飲み合わせについて心配している。
私が心配して併用薬をお聞きした場面です。
心配していたのは私のほうです。

S:症状ある時だけ服用している薬があるか確認された。
酸化マグネシウムなどについて、私から「症状がある時だけ使われているのですよね?」と確認した内容です。
確認したのは私なのに、患者様側が確認されたという書き方になってしまいました。

S:クラリスロマイシンを以前飲んでいたが現在の服用確認を求められた。
クービビックが処方されていて、併用薬にクラリスロマイシンの記載があったため、少量長期投与などがないか念のため確認した場面です。
これも、確認したのは私です。

S:ピロリ除菌を6月頃に受けた。
これは少し性質が違います。
私から「6月頃にピロリ除菌をされたと思いますが、そろそろ結果は出ましたか?」とお聞きし、患者様が「除菌成功していました」と教えてくださった場面です。

すでに知っている情報がSに残り、本当に記録すべき「除菌成功」という結果が落ちています。
記録としての価値が、逆になってしまった例です。

 

② 薬剤の取り違え・混同

S・Pのいずれか:飲み薬を食後に服用するとお腹が痛くなることがある。塗り薬は朝に2個使用している。
お腹が痛くて食事が摂れないようなら、空腹のまま服用しても構いません、という指導をした場面だったと思います。
塗り薬の話はしていないので、おそらく胃薬が塗り薬に変換されています。

A・Pのいずれか:鼻水用頓服は〇〇
カロナールの指導が、別の鼻炎薬の話と混ざったものです。

どの薬の話かをAIが判断するのは難しい、ということは理解しています。
ただ、鼻炎薬の指導と、その前後にあった痛み止めの話が混ざるのは、さすがにどうなのだろうかと感じました。
会話内容がメモとして残せるという利点も失わてしまっている感じがします。

 

③ 日本語として意味の取れない要約

A:腸内環境の改善が期待されるが、服薬のしやすさが続投の妨げになる可能性がある。
どの場面の話なのか思い出せないほど、意味がわかりませんでした。
「服薬のしやすさが妨げになる」という部分が、そもそも文章として成立していないようにも感じます。

A:朝分を変更してから服用して様子を見る必要がある。
本来は朝食後に飲む薬ですが、その時点で11時頃だったため「帰ってから朝の分を飲んでいただいて大丈夫ですよ」とお伝えした場面です。
文章としても、何を変更するのかが分かりません。


まとめ

  • マイクはsurfaceの備え付けで十分。投薬台への端末設置も不要だった
  • 話者分離機能があり、会話に他の人の声が混ざっても比較的問題なかった
  • SOAP生成中も他の患者様対応ができ、待ち時間のストレスは少ない
  • 精度はそこそこ高いが、数値の確認と改行・主語の修正は必要

色々な薬歴システムを使ってきましたが、AIが「メモを振り分けてくれる」という感覚で使えるのは、MusubiのAI薬歴機能の良さだと感じています。
※他のAI薬歴機能も同様かもしれません(他のAI薬歴はまだ触れていません)

「1発で薬歴が完成する」という、完璧を求めすぎず、メモ代わりとして活用しながら、必要な部分を自分で整えていく。

そのくらいの距離感で使うのが、自分には合っていると感じました。
※面倒に感じる方もいると思いますが、かなり時短にはなっていました。

 

【2026年9月 追記】今のまとめ

上のまとめは2026年6月時点のものです。
2026年9月時点では、次のように感じています。

  • 仕組みは今も良い。生成中に別の対応ができる点、待ち時間の短さは変わらず便利
  • ただし出てくる文章の中身は、当時より確認の手間が増えた
  • 特に話者の取り違えが多く「私が言ったこと」が「患者様が言ったこと」になる
  • 「修正して仕上げる」から「まず全部読んで、事実と違う部分を探す」に近い使い方になった

良かった時期があるのは事実です。
だからこそ、6月の記述を消さずに残しました。

追記で書いたことは、私が入っている薬局の環境で、2026年9月時点に実際に出てきた要約です。
同じシステムでも、環境や使い方によって変わる可能性はあると思います。

特に話者の取り違えは、実際にはなかった訴えが記録として残るという意味で、他の間違いより重いと思っています。
MusubiのAI機能を使われている方は、SとPの入れ替わりがないか、入念に確認してみてください。

また、現在、AI薬歴を搭載した CARADA 電子薬歴 Solamichi も体験することができました。
そちらの使用感については、こちらの記事にまとめています。


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